【XJ 400D 】
現行車種には無い雰囲気と当時への想い等から、絶版車をこよなく愛する方は沢山いらっしゃいます。

しかしながら、生産終了後から10年もすると新品パーツ調達が困難になり、維持していく事自体が少しずつ
難しくなってくるのが現実です。海外に輸出され人気車種になった車両は逆輸入で今でもある程度安定したパーツ供給が
可能なケースもあるらしいですが、日本国内に目を向けると基本的にメーカーは新しい車両の販売には力を注ぎますが、
古い車両を活かしていく事には消極的な様です。

エンスーとまでは行かなくても大切なモノをいつまでもリキまずに使える、そんな風になればカッコ良い世の中だと思います。
しかも、本当の意味でエコ!
今回はXJ400Dのレストア系ペイントです。
この年代は他にも・CBX400F ・Z400FX ・GSX400F等、今となってはお宝バイクのオンパレード。
国内2輪メーカーに勢いの有った時代ですね。
作業対象は写真右側の(Fフェンダー、両サイドカバー、テールカウル)のみで、
写真左側の(タンク、両サイドカバー、テールカウル)は色合わせや、グラフィックサンプル様にご用意頂いたパーツ達です。
それなりに古い品なので、当然経年劣化が見受けられます。
古いプラスチックパーツは大抵の場合、取り付け負荷が掛かる箇所にダメージが現れます。
フロントフェンダーは今回唯一の社外品、っと言ってもこれもいわゆる「当時モノ」って形容される品です。
汚れていたFRPむき出しの裏側も可能な限りキレイ下準備してから作業に取り掛かると致します。
旧塗膜と削り落とすと、白いゲルコートがあらわれます。
同時に素穴(ゲルコート中に入り込んだ空気)もチラホラと。
FRP製品のダメージ箇所は再度新しいFRPを貼り付けて補修していきます。
純正パーツのサイドカバー/テールカウルも可能な限り旧塗膜を削り落としてます。
※当方では年式が新しい場合、この作業は必ずしも必要とは考えておりません。
全てはケース・バイ・ケースです。
素地が見えて初めて分かるダメージも。
レストア系オーダーの場合は下地作業に関しては蓋を開けて見ないと分からない事が多くあります。
一品一品、一箇所一箇所に手を加えていきます。
補修や下地処理が済んだら下地塗装を吹いて、乾燥室へ。
これまでの工程を確認しながら、下地塗装をシャカシャカ研磨中に、ん?んんん??
縦にクラック(割れ)が入ってるじゃんかぁ~。。。
見つけてしまった以上、そのまま進む訳にはいかないので、問題箇所を深く削ってみると。
ゲルコートの下のFRPに大きな素穴の群れが。。
理由が判明したら直ちに対処を進めましょう。
今回は仕上げ用の目の細かいファイバークロスを使用したFRP修理→パテ処理。
ガソリンタンクは色合わせ用にお預かりしているデッドストック品です。
今回の作業にこれ以上の品はないでしょう!
こちらはグラフィックラインの再現資料としてご用意頂いたパーツ達。
せっかく現物があるので型紙をおこして再現ペイント時に活用したいと思います。
単色ペイントに比べ、何色も使う多色ペイントは当然多くの時間とエネルギーを必要とします。
ましてや、今回の様な作業内容の場合は細かな気配りと手作業の連続です。
仕上げの磨きを終わらせれば。
無事完成です。
可能な限り忠実に再現し、クオリティーはより高く。
書けば20文字ちょい、言えばほんの数秒。
ただし、実行するには時間と手間と相応の費用が必要となってきます。

それでも、思い入れの愛車が蘇る喜びには替えられない場合も有るわけです。